線維筋痛症とは
線維筋痛症は、全身の痛みを主な症状として、精神神経症状(不眠、落ち込みなど)や自律神経症状(過敏性腸症候群、逆流性食道炎、過活動性膀胱など)を伴う病気です。現在のところ原因は不明です。年齢は40代から50代に多く、性別では女性に多いようです。
ときとして全身に及ぶ強い痛みがあるにもかかわらず、一般的な検査で明らかな異常がないために「嘘を言っている」「怠けている」などと心無いことを言われる場合がありました。しかも、医師をはじめ医療人でさえも認識が乏しいのが現状です。
発症要因
症状が出る「引き金」になりやすい要因は、以下のとおりです。
外的要因
外傷(ケガ)・手術・ウイルス感染 など
内的要因
離婚・死別・別居・解雇・経済的困窮 など
主な症状
痛み
リウマチのように関節が痛くなる場合や、アキレス腱などの腱付着部炎や筋肉痛が出る場合があります。さらに四肢や全身に痛みが広がるのが特徴です。
精神神経症状
睡眠障害、疲労感、抑うつ感、不安感などの精神神経症状が出ることがあります。
自律神経症状
過敏性腸症候群(便秘、下痢、腹痛など)、リウマチ症状(手のしびれ、こわばり、レイノー症状など)、頭痛、ドライアイ・ドライマウス、頻尿や膀胱炎なども併発することがあります。
検査
関節リウマチや一般的な整形外科的疾患、内科的疾患を見逃さないように、一般的な血液検査、尿検査、エックス線などの検査を一通り行います。線維筋痛症では普通の検査で異常が見つからない場合があります。
最近ではfMRI(機能的MRI)やPET-CTなどにより脳や脊髄に異常を特定できるようになってきたものの、まだ検討段階です。
診断基準
一般的な検査で異常がないために、線維筋痛症を診断するために診断基準が設けられています。
アメリカリウマチ学会 1990年 診断基準
全身の指定圧痛部位18ヵ所中に11ヵ所の圧痛があれば診断できます。
アメリカリウマチ学会 2010年 診断基準
自覚症状としての痛みの部位、疲労感、自律神経症状を組み合わせて診断します。
精神科疾患の合併
線維筋痛症ではうつ病など精神科疾患が合併している場合があります。また、線維筋痛症のお薬では精神科疾患に影響を及ぼす可能性がある薬があるために、治療を開始する前に精神科・神経科の専門医に一度診ていただくことをお勧めしています。
治療法
治療は薬物療法と非薬物療法に分けられます。
薬物療法
現在日本で線維筋痛症に対して保険適応があるのはプレガバリン(リリカ®)とデュロキセチン(サインバルタ®)です。
プレガバリンは元々てんかんに使われていた薬で神経障害性疼痛にも適応があります。デュロキセチンは元々うつ病に使われる薬ですが、線維筋痛症に対する作用はうつ病に対するものとは異なるとされています。うつ病がなければ精神症状に及ぼす副作用はあまり心配ありません。
その他、一般的な痛みに用いられるアセトアミノフェン(カロナール®など)、アセトアミノフェンとトラマドールの合剤(トラムセット®)、トラマドール(トラマール®)、ノイロトロピン®などや、睡眠障害がある場合には抗不安薬、催眠薬を用います。
非薬物療法
薬以外の治療も大切です。エビデンスが比較的高い非薬物療法としては、医療者からの教育、認知行動療法、運動療法、オペラント付け行動療法、温熱療法、禁煙などが挙げられます。まだまだ検討段階であり、できる施設も限られますが今後広まってくると考えられます。
アドバイス
患者さんがよく使う言い方は「この症状は何が原因なのですか?」「絶対に治らないのですか?」「一生、薬を飲まなければならないのですか」「痛みでもう何も出来ません」などです。
線維筋痛症の原因がはっきりしない現在では、はっきりした原因がわからないのが現状です。したがって、「なぜなぜ?」と考えても答えは出てきません。「こういう病気もあるんだな。今は原因がわからないけど効く可能性がある治療を試していこう」と考えてみてはいかがでしょうか。
また、「絶対によくならない」とか「一生」など完全主義的で破滅的になりがちですが、痛みが少しでもよくなったことをご自身でも確認して「昨日できなかったことが今日はできている」と考えれば気が楽になるかもしれません。
線維筋痛症の理解と治療 ─ 図解

※ イラストはイメージです。実際の症状・治療は医療機関にご相談ください。
参考情報
線維筋痛症や慢性のいたみについて、下記のサイトが参考になるかもしれません。
参考になる書籍:「長引くその痛みあなたの力で治せます」NPO法人いたみ医学情報センター著(Amazonで購入可)
線維筋痛症・慢性疼痛のご相談
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